- タイムは、料理、薬用、さらにはガーデニングに使用され、古くはその殺菌効果や防腐効果を利用して古代エジプトでミイラを作る際に使われていました。
今回はそんな「タイム」を北海道の気候条件下で栽培するための「育て方」「病害虫対策」「増やし方」をご紹介致します。
育て方(露地栽培)
土づくり
タイムは「水はけが良く」「肥沃でない土壌」を好みます。
砂質または石灰質の土壌が理想的です。土壌のpHは、中性からややアルカリ性(pH 6.0-8.0)が適しています。土壌が重い場合は、砂や有機物を混ぜて改良し、排水性を高めましょう。
肥料は少なめに!(使用する場合はゆっくり効く緩効性肥料がおすすめ)
植え付け時期
北海道で栽培する場合は、霜の危険がなくなった春の遅めの時期に植え付けることが望ましいです。5月下旬から6月初旬が最適。
生育適温は5度~20度(最低気温は5度以上)
水やり
タイムは乾燥に強いハーブです。ただ、植え付け初期は土壌が完全に乾かないように注意が必要です。
成熟すると、水やりの頻度は減少し、土壌が乾いたことを確認してから水やりをします。
過剰な湿度は根腐れを引き起こす可能性があるため、植物の根元に水が溜まらないようにしましょう。
植え付け初期は土が完全に乾く前に水やりをする
日当たり
タイムは日当たりの良い場所で最も良く成長します。1日に少なくとも6時間以上の直射日光を受けることが理想的です。日陰の多い場所では、植物が脚長になりやすく、香りも弱まる可能性があります。
肥料
タイムは「肥料をあまり必要としません」そのため、肥料の過剰な使用は避けるべきです。
育成初期に軽く緩効性の肥料を施すか、植え付け時に少量の堆肥を混ぜるだけで十分です。植物が健康であれば、その後は追肥の必要はありません。
育て方(プランター)
プランターの選び方
- タイムは根が広がる植物なので、根が十分に広がれる幅広のプランターを選びます。また、水はけが良い環境を好むため、底に穴のあるプランターを使用しましょう。
土壌の準備
- タイムは水はけの良い土壌を好むため、排水性の高い土壌を用意します。市販の多肉植物用土壌や、庭土にパーライト、バーミキュライト、砂を混ぜたものが適しています。
- 土壌のpHが中性からややアルカリ性(pH 6.0-8.0)であることを確認しましょう。
植え付け
- タイムの苗をプランターに植え付ける際は、苗同士の間隔を15-20cm程度あけてください。これにより、空気の流れを良くし、病気のリスクを減らすことができます。
- 植え付け後、土壌をしっかりと湿らせてください。
日照条件
- タイムは日当たりが良い場所を好むので、プランターを1日に少なくとも6時間以上直射日光が当たる場所に置きます。
水やり
- タイムは乾燥に強い植物ですが、プランター栽培の場合は土壌が早く乾燥するため、定期的な水やりが必要になります。しかし、過剰な水やりは根腐れの原因になるので、土壌が乾いてから水やりを行います。
- プランターの底から水が流れ出るまでたっぷりと水を与え、その後完全に乾くまで待つことが重要です。
プランター栽培の場合は土が乾いたらたっぷりと水をあげる。
病害虫予防
害虫
- アブラムシ: アブラムシは若い葉を好み、栄養を吸い取ります。発見次第、強い水流で洗い流すか、石鹸水を使って対処します。自然捕食者であるテントウムシを誘引することも有効です。
- ハダニ: 乾燥した条件はハダニの発生を促します。被害が見られた場合は、植物に水を霧吹きして湿度を上げることで対策できます。重度の被害には、適切な殺虫剤の使用を検討してください。
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病気
- 根腐れ: 過剰な水やりは根腐れの原因になります。排水性の良い土を用意し、水はけの良い環境で栽培しましょう。
- うどんこ病: 若い葉や茎の表面にうどん粉をまぶしたように白いかびが生えます。花梗部につくと開花を阻害します。感染を防ぐためには、過密植えを避け、適切な日照を確保することが重要です。感染した部分は速やかに取り除き、必要に応じて有機的な殺菌剤を使用しましょう。
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収穫
収穫のタイミング
- タイムは植え付け後「約6~8週間」で収穫可能になります。
- 植物が十分に成長し、良い香りを放ち始めたら、収穫の準備が整ったサインです。
- 花が咲き始めると、葉に含まれるオイルの量が最大になりますので、花が開く直前が収穫の最適な時期です。
収穫方法
- タイムを収穫する際は、植物の上部から「約1/3の長さ」を切り取ります。これにより、植物はさらに成長し、次の収穫が可能になります。
- 収穫したタイムは、束にして逆さまに吊るし、風通しの良い日陰で乾燥させることができます。また、新鮮な状態で使用することもできます。
収穫後の管理
- 乾燥させる場合、タイムが完全に乾燥するまで数日から1週間かかります。乾燥が完了したら、葉を茎からこすり落とし、密閉容器に保存します。
- タイムは乾燥させてもその香りと風味を長期間保持しますが、最高の品質を保つためには、光や熱から遠ざけて保管してください。
増やし方
種子から増やす方法
- 種蒔き: タイムの種は春に直接外に蒔くか、または早春に室内で育苗トレイに蒔きます。種は非常に細かいため、土に軽く押し込むだけで十分です。
- 発芽条件: 発芽には、温度が約15~20℃の明るい場所が必要です。種は表面に蒔くため、土を乾燥させないように注意し、霧吹きで湿らせます。
- 移植: 発芽後、苗が十分な大きさに成長したら、個別のポットに移植するか、または庭に植え付けます。
挿し木による増やし方
- 適切な時期: 初夏から夏にかけてが挿し木に最適な時期です。この時期、新芽が柔らかく、根付きやすい状態にあります。
- 挿し木の準備: タイムの枝から、葉のついた部分を約5~10cm切り取ります。下部の葉を取り除き、茎の一部を露出させます。
- 根の発根促進: 挿し木の茎を発根促進剤に浸し、湿った砂や軽い土壌の入ったポットに挿します。
- 管理: 高い湿度と安定した温度を保つことが重要です。ポットをプラスチックの袋で覆うことで、湿度を保つことができます。根がしっかりと発根するまで、土壌を適度に湿らせます。
冬場の管理
タイムは5度以上での栽培が必要です。そのため、北海道で露地植えをしている場合は屋内に鉢上げしてあげる必要があります。
鉢上げをする際は、株に適したサイズの鉢を選び、市販の培養土もしくは専用用土を使用して定植しましょう。
定植後は日当たりの良い場所で栽培してください。水やりは乾燥したらたっぷりと水をあげましょう。
最後に
香りが強く、肉料理の香りづけやハーブティーととして楽しむ事が出来るタイムの北海道での栽培方法をご紹介しました。
耐寒性があるものの北海道の冬を越すのは難しいです。プランターに植え替えをして屋内で冬越しをしてあげましょう。
この記事が皆さんのお役に立てれば幸いです。
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